第1回定例会一般質問
- 「たいとうメールマガジン配信サービス」について
- うつ病対策について
- 発達障害のあるお子さんと保護者に対する支援対策について
- 高齢者の入浴事業について
台東区議会公明党の松尾伸子でございます。まず先に、
以前一般質問の際に提案させていただき、また、
会派の小菅議員もかねてから提案させていただいておりました「共同型家庭的保育事業」の施設誘致が決まったことを伺いまして、待機児童解消へ一歩前進できましたことを区民の皆様とともに喜んでいるところです。
これからも保育事業のさらなる進展をくれぐれもよろしくお願い致します。
さて、質問に入らせていただきます。
まず、1点目に、区民の皆様が必要とする多様な情報ニーズに対応できる、「たいとうメールマガジン配信サービス」についてご提案申しあげ、その実現の見通しをお伺いいたします。
現在台東区では、区のホームページからツィッターを使って、区政に関する情報を配信するサービスを行っています。また、「たいとう安全・安心電子飛脚便」や「たいとう環境メールマガジン」というメール配信サービスも実施しております。
このメール配信サービスは、様々な区政情報発信の手段として、また、いざ震災時には、その情報発信の大変有効な方法としても、さらに、特に子育て中の親御さんや、障がいのある方などへの情報発信ツールとしてもとても有効であると考えています。
さて、現在、神奈川県秦野市では、携帯電話会社のネットワークシステムを介して、災害・避難情報などを市民の方々などの携帯電話に配信する緊急速報メール(エリアメール)の運用をしています。市が発信した避難勧告や避難指示、災害情報などを市内で自動受信できる仕組みです。
また、藤沢市で実施している、「藤沢市メールマガジン配信サービス」事業では、あらかじめ利用登録された方の携帯電話やパソコンに、市政に関するメールマガジンを配信しています。8種類のメニューの中から希望するメールマガジンを選択して受信することが可能となっていますので、市民が必要とする情報を自らが選択して、取得することができます。
情報発信側の市では、たとえば、「広報ふじさわ」に掲載された記事の中から、特に周知したい記事などを要約して、「広報ふじさわ」の発行日に合わせて月2回配信する「広報ふじさわダイジェスト」や子育てに関する情報を随時配信している「子育てメールふじさわ」。健康づくりに関する事業の紹介と成人検診の受け方、流行している病気の情報など健康に関するお知らせを月1回配信する「健康ナビふじさわ」などがあります。ほかにも、「防犯対策システム」のなかには、携帯電話を1・2回操作することであらかじめ登録した保護者等に電子メールを送信する「SOSメール配信機能」や「どこなのメール」などのサービスを提供しています。特に地震情報など、タイムリーな情報は非常に役立っているようです。この藤沢市のメールマガジンのシステム保守管理委託料は、年間約26万8千円で、経費はさほどではありませんが、大変な効果が見込めるのではないでしょうか。
また、福岡県糸島市では、議会や観光イベント情報など10項目から選択できる「情報メールいとしま」の配信サービスを実施しています。糸島市内では、防災行政無線の聞きとりにくい地域が約20地域あることから、防災・災害情報は、選択制ではなく利用者全員に配信しているという事です。
さて、台東区ですが、情報発信の一番の手立てとしては、現在は、広報たいとうを中心に、ツイッター配信などを実施しているところです。広報たいとうは、本年2月5日号を98,200部発行しております。また、ツイッターに関しては、現在2,172人の方々がフォロー頂いているようです。
各課で配信している「たいとう安全・安心電子飛脚便」の登録者数は昨年12月末で3,649人。費用は、年365,400円です。「たいとう環境メールマガジン」では、費用は掛かりませんが、登録者が546人にとどまっております。
ところで、いざ災害の時の情報ツールとしては、防災行政無線が主要な手段で、今後さらに再整備という方向性も出ていますが、まだまだ聞き取りにくいという課題が解消されていません。また、仕事等で、区外へ外出していれば、お住まいのある台東区内の情報を得ることはできません。
一方、今や携帯電話の利用者は、若年層から、ご高齢の方まで幅広い年代層に広がっております。その意味で、「たいとうメールマガジン」の配信は、子育て世代の親御さんも、障害のある方などにも、登録者数、利用者数を増やすことができ、また、他都市の例をみると、情報発信にかかる予算も削減できるのではないかと思えます。そして何よりも、区民への情報提供サービスが大きく充実すると思えるのです。これまでのバラバラな情報発信をまとめ「たいとうメールマガジン」として発信していってはいかがでしょうか。ご提案申し上げる次第です。また、これの実現性について、区長のお考えをお伺いいたします。
次に、うつ病対策についてお伺いいたします。
ここ数年若干減少してきたとはいえ、年間3万人ともいわれる自殺する方がおられます。自殺率の国際比較では、日本は自殺率の高い国に部類されます。また、自殺は、10代、20代の死因のトップに挙がっており痛ましい限りです。そして、自殺される方々の多くが、うつ病で苦しみ悩みながら、大切な命を自ら絶っているという現実があります。
言うまでもなく、うつ病では、早期発見、早期治療が大切でありますが、精神的な疾患においては、医療機関にかかることに抵抗を感じる場合が多く発見が遅れたり、また、状態が悪化してからやっと病院へ行き治療を開始するという事例が少なくありません。加えて、うつ病は、熱や咳など症状がわかりやすい風邪などとは違い「見えない病気」なので、本人にしかその苦しみはわからないといわれ、発見と治療を難しくしていると思われます。しかしながら、うつ病は、治療を受ければ必ず治る病気で、薬物療法と十分な休息をとるなど適切な治療を早期に行えば、一般的に、6カ月から1年ほどで回復すると言われています。
現在、早期発見のツールとして「こころの体温計」というパソコンや携帯電話を利用して、簡単に、心の状態をチェックできるものがあります。チェックして、その画面の終わりに、その人の状態に即した簡単なアドバイスや「一人で悩まないで、ご相談ください」などのメッセージ、また、講演会情報や多くの相談機関のリストが掲載されているというものです。厚木市、秦野市ほか、品川区、国分寺市など、多くの自治体で導入しております。「こころの体温計」のアクセス数は、昨年24年6月現在で厚木市が、人口約25万人で年間約38000件。秦野市が、人口約17万人で28700件。品川区は人口約36万7000人で、84000件。国分寺市は人口約12万人で、68000件のアクセスがあるという現状です。
また、静岡済生会総合病院精神科の漆葉(しんば)俊一先生が取り組まれている、「こころのものさし」というメンタルヘルス・チェックシステムがあります。私は、昨年、漆葉先生の心の健康セミナーにさせていただきましたが、この「こころのものさし」というシステムは、心肺変動によるうつ病リスクチェックで、自己問診ではない客観的なうつ指標の提供をするものです。
心拍変動の生理的検査を行い、交感神経と副交感神経の自律神経バランスを読み取り、心のストレス度や疲労度などが容易に測定できるものです。この病院では、この「こころのものさし」を使った「うつ病リスクチェック」を通常の健康診断の一つの健診項目とし、今春から「こころの健康診断」を始めることになっています。
「こころの体温計」「こころのものさし」のいずれも、「うつ病・自殺予防」対策として、専門医にかかるという心の負担が無く、自分自身で気軽にできる早期発見のツールとして大変有効なものと思えます。
台東区では、ホームページに、うつ症状の診断・ツング自己評価尺度のチェックリストを掲載し、うつ病の早期発見を促しているようです。しかしながら、このチェックリストを探し出すのが、少々分かりづらく、使い勝手が悪いように思えます。
昨年の第4回定例会で、わが党の寺田議員からも提案をいたしましたが、まず、自分自身の、また、家族の精神状態を、わかりやすく知れることが大切で、そして、医療機関にかかる必要があれば、区の保健機関がその連携を図る、具体には、相談を受け、状況を確認し、専門医を紹介し、連携していく体制が必要なのです。
加えて、最近、うつ病で苦しんでいる方にとって、医師による適切な投薬治療と共に、認知行動療法が有効であることも、徐々に周知されてきました。この認知行動療法は基本的に投薬治療を行わず、患者が本来持っている心の力を取り戻し、改めて自分自身の心の状態を認識、確認しながら、改善の方向へ、心の力を育てる方法です。投薬治療を望まない患者にとっては、大事な選択肢であり、うつ症状を軽くしていく治療法として、現在最も注目を集めている精神療法であります。しかしまだまだ、患者ご本人などに周知されていないことや担当医師の人材不足という課題もありますが、患者の治療の選択肢を広げるという視点で、認知行動療法を実施している医療機関にかかる情報提供も大切であると考えます。
区の保健機関の相談体制の充実、及び、認知行動療法の実施医療機関の紹介について、実現性等区長のお考えをお伺いいたします。
3点目に、発達障害のあるお子さんと保護者に対する支援対策について、お伺いいたします
近年、保育園、幼稚園、小学校などで、いわゆる気になる子が増えている状況があります。健診の精度が上がり、また、専門家による相談体制等の成果の向上によると思われます。しかし、明らかに発達障害と認められる子どもも増えている中で、障害が認められないとする子どもの中にも、潜在的に発達障害を抱えている場合があります。
この潜在的に発達障害を抱えている、お子さんと親御さんへの支援が重要であると思えるのです。人に見えずらい、分かりづらいがゆえに、抱えるご苦労も大変なものがあると考えます。
発達障害は、早期発見・早期療育により困っている状況を改善して、大人になっても、円滑な社会生活を送ることが出来る人が多くいることから、十分な療育支援の対策を講じていく事が肝要であると考えます。
発達障害については、まだまだ、社会的な理解が不十分であり、家族の中でも理解しあうことが難しい状況です。そのような中、子どもの気になる行動を理解できず、親子関係にストレスを感じるという負担感は、大きいものがあります。
保護者にとっては、ほかの子と何かが違う、わが子に何が起こっているのか、だれに相談していいのか本当に悩むところです。また、そのような、「何かが違う」と実感する時期も、そのお子さんによって、それぞれ違います。3歳半健診で気づかされることもあれば、小学校に入ってみてわかるということもあります。また、中学生になって、不登校などのトラブルから気が付くこともあります。
台東区においても、発達障害の相談窓口など充実に努めていると思いますが、「ちょっと聞いてみたいけど」と思っても、敷居が高く感じられ、また、たくさんある窓口がかえってどこへ相談してよいのかわかりにくくしていると思えます。
千代田区では、子供に関する所管が、すべて「こども教育部」に統括されています。このほど、千代田区では、運動や言葉、コミュニケーション能力などの発達に支援が必要なこどもたちのサポート拠点として、子どものための複合施設「神田さくら館」内に「さくらキッズ」をオープンさせました。この複合施設では、教育支援館、家庭支援センター、通級教室など子どもに関する機関が相互に連携できるようになっています。
「さくらキッズ」は子どもの心身の発達を支援している区内のNPO法人「こどもの発達療育研究所」が受託運営しています。集団指導では、1歳~2歳児の低年齢児グループと3歳~小1の幼児・小1グループに分かれて、集団参加の力を育てているとのことです。発達について、なるべく気軽に相談できるようにということで、小児科医が担当する「こどもの健康相談室」を開設して、ちょっと気がかりなお子さんと親御さんのための相談の場となっています。
また、鎌倉市では、「5歳児すこやか相談」事業を行って、子育ての悩みや、発達上の心配などに関する相談機会としています。保護者からのアンケートでは、「改めて子どもの成長を見直す機会になった。」「子育てで不安になったりイライラしていたが、子どもとの関係を見直すきっかけになった。」「保育園では親同士が話す機会があまりないため、ほかの子どもたちの生活を知る機会になった。」など、一定の効果を上げているようです。
平成23年度第4回定例会でも発達障害について一般質問させていただいた際にも触れましたが、世田谷区では、「4歳6か月児発達相談」の実施と「スマイルブック」というお子さんの基本情報・支援情報をまとめたファイルを作成しています。これはどなたでもパソコンからダウンロードできるようになっていますので、各自でポケットファイルを用意して18歳までの記録として役立てることが出来ます。そして発達障害のあるお子さんの生涯にわたる継続的な支援に取り組んでいます。
現在、台東区では教育支援館で、教員のOBや臨床心理士が、幼児から18歳までのお子さんの教育相談を実施しています。
また、保健所、幼稚園、保育園、松が谷福祉会館との連携も図っています。
そこで、今までの連携支援の拠点として、この教育支援館の機能を活かして、改めて、もっと気軽に、子どもの事を相談できる体制を整え、幼児から18歳までの「こどもの発達相談窓口」の機能を設け、療育支援体制を強化することをご提案申し上げます。教育長のお考えをお伺いいたします。
最後に、高齢者の入浴事業について、一言申し上げます。
高齢者にとって公衆浴場は、健康増進とふれあい交流の貴重な場となっています。現在、台東区内には、32軒の公衆浴場がありますが、偏在しているため、高齢者の中にはタクシーで乗り合わせて通っている方もいらっしゃるという状況です。また、台東区においては、区内の公衆浴場を利用できる入浴券を配布していますが、区境にお住まいで区外の公衆浴場のほうが近い方からは、
「区を超えて入浴券を使えるようにならないでしょうか」とのご要望をたくさん伺っております。足立区では、高齢者入浴事業で、近隣の北区の一部の公衆浴場を利用できるようにして、高齢者の利便性を高めているとのことです。
台東区においても、区内の公衆浴場事業者を守っていくことは当然でありますが、公衆浴場を利用される高齢者の利便性向上を視点に、隣接の区や公衆浴場事業者との連携を模索することも非常に大切であります。高齢者の方々がより一層柔軟に公衆浴場を利用できるようご検討いただくことを要望申し上げ、一般質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。