- 木造密集住宅地域における出火防止・初期消火対策の充実について
- 防災教育について
区議会公明党の松尾伸子です。
大きく二つのことについて、総括質問させていただきます。
まずは、木造密集住宅地域における出火防止・初期消火対策の充実について2点質問させていただきます
このほど、密集住宅市街地整備促進事業地区である谷中2・3・5丁目地区及び根岸3・4・5丁目地区の防災性向上を図る目的で、東京都建築安全条例に基づく「新たな防火規制」区域に指定され、この4月1日から施行されることになり、と同時に、東京都が進める「木密地域不燃化10年プロジェクト」では、谷中2・3・5丁目地区が「不燃化特区」の指定を受けることから、燃えない・燃え広がらないまちづくりがこれまで以上に推進されていくものと期待され、時間のかかる事業で、一朝一夕には進まないかもしれませんが、大変すばらしいことと喜んでおります。
ところで、平成24年に東京都の防災会議において被害想定が修正されました。現在は、発生条件が冬の午後6時に風速8メートルで、マグニチュード7.3の首都直下地震が起きた場合、火災による建物被害は約18万棟にのぼり、死者は推計4,100人とみられています。いずれにしても木造住宅が密集する地区では、区民の皆様の災害に対する高い防災意識、自助努力が大変重要であると考えます。
先日も、池之端において、大規模な火災が発生し、ご高齢の方が、お亡くなりになりました。やはり、木造住宅が密集する地域でした。
特に、高齢者、障がい者等災害弱者、また、小さなお子さんのいる世帯では、いざ火災が起きた時、基本はすぐに逃げること、助けを呼ぶことが大切であると思いますが、出火直後に、とっさに火を消そうと思ったときなど、取り扱いが簡単で、だれもが使え、廃棄コストもかからない簡易な消火剤が手元にあったら少しは安心できるのではないでしょうか。
現在、エアゾール式の簡易消火剤などはあっせん品の中に入れて頂き割引価格で紹介していただいていることは存じております。しかしながら、利用率はあまり高くないと聞いております。高齢者や障害者に対しても給付の制度がありますが、給付を受ける条件などの制限があり、使い勝手において、課題があります。
木造住宅が密集する地域では、「火を出さない」ということが、最も重要なことです。区民の防火意識を啓発するためにも、簡易消火剤の普及を図ることは、有効と考えられます。
そこで、区長にお伺いいたします。
木造密集住宅地域や子育て世帯、高齢者単身世帯、障がい者世帯などへ、初期消火の補助器具として、簡易消火剤の配備を促進するため購入助成制度を設けるべきと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。
2点目には、以前より初期消火のアイテムが、さまざま開発されており、中でも簡易水道消火装置、いわゆる「まちかど消火栓」やポータブルタイプの「ハリアー」などの使い勝手の良さが認識されてきております。
まちかど消火栓は水道水を使用して初期消火する装置で特殊機能の開発ノズルが水道水の勢いを増加させて大量の水を遠くへ飛ばすことが可能とのことです。そして大事なことですが、女性や高齢者をはじめ誰でも容易に操作できるというものであります。
豊島区では過去2年間、Ⅰ期・Ⅱ期と火災危険度ランク5の木造住宅密集地域内の公園等に設置してきたそうです。平成25年度では火災危険度4まで広げて設置しています。
文京区でも、スタンドパイプに次いで、まちかど消火栓を新年度の26年度に予算化し導入していく方向だと伺っております。
そこで、今後、台東区でも実験的に木造密集住宅地域とくに狭隘な地域に活用可能な初期消火のアイテムとして、だれもが簡単に操作できる簡易水道消火装置(まちかど消火栓)の設置を検討してはどうかと思います。区長のご所見をお伺いいたします。
(答弁)
いずれにしましても、区民にわかりやすい場所にある、操作が簡単であるということが、大切ですので、今後ともよろしくお願いいたします。
次に、防災教育について3点教育長にお伺いいたします。
まず、幼小中の連携について伺います。
東日本大震災発生時に、釜石市の小中学生は、地域に伝わる教えを守り、全員が奇跡的に非難することができました。NHK等で報道された「釜石の奇跡」です。その釜石市は、2006年から5年間、専門家の指導の下、徹底した防災教育を行っていました。
同市の防災教育に携わってきた群馬大学大学院の片田教授が教えてきたことは、
- 想定を信じるな。「自然の振る舞いを固定的に考えてはいけない」
- ベストを尽くせ。「その状況下において最後までベストを尽くせ。」
- 率先避難者たれ。「君が逃げれば、みんなが逃げる。率先して逃げることが多くの人の命を救うことにつながる。」と
日ごろから、繰り返し、叩き込まれてきた子供たちは、実際の災害の時に、中学生を先頭に、また、その姿を見たすべての人々が、自分たちの力で、どこまでも、上へ上へと駆け上がり、小さい子供とお年寄りの手を取って一緒に全員避難することができ多くの命が救われました。
家庭と地域そして学校での防災教育の重要性をあらためて実感いたします。
このように災害時においては、異なる年齢間の、しかも、日ごろからの関わりが、児童生徒の潜在的な力を引き出すことができるのではないでしょうか。
防災教育の先進事例としては、文京区では、今年度から2年間、5月から10月の期間に、すべての区立小中学校で防災宿泊体験の実施をスタートさせています。訓練の対象は、全30校の小学4年生と中学2年生で、プログラムは学校ごとに異なりますが、避難生活を想定して、食事や物資の仕分け、救出活動などを行います。
文京区教育委員会では、東日本大震災の際、校外学習に出ていた生徒が渋滞に巻き込まれたり、帰宅困難に巻き込まれた保護者と連絡が取れなくなった児童などがやむを得ず学校にとどまり、帰宅が翌朝になった事例などを教訓に、
「大人が近くにいない時に災害が起きても身を守れる力を養おう」と、区内の先進的に実施していた小学校の取り組みを参考にガイドラインを作成して各校に導入を図りました。
本区においても、首都直下地震に当てはめて、幼稚園・小学校・中学校と相互に連携して、防災教育を推進すべきであると考えます。
いつ災害が起こるか予測できない以上、様々な状況を想定し、「自分を守り、周囲の人の助けになれる子供たちを育てる取り組み」をしていくためには、日ごろから同じ地域の年齢が異なるつながりが一番大切です。
また、「子ども110番」のプレート掲示してくださっているお宅やお店などにも、普段から家族で交流をしてお互いに知り合うことなどが必要であると考えます。昔ながらの自助・共助の姿を、小さい時から培っていく環境づくりとして、未就学児も含んだ小・中合同の親子防災訓練の実施を行うなども必要と思います。また、防災教育推進モデル校を指定し、リーディングの事例を積み重ね、全校へと広げていくことも大切ではないでしょうか。
このような、災害時における、幼稚園・小学校・中学校が連携した防災教育の推進について、教育長のご所見を、お伺いいたします。
2点目は、現在、避難所指定されている小・中学校にはD級可搬ポンプやスタンドパイプの配備を進め、各地域の防災訓練の折に、区民の方が実際にD級ポンプに触れて操作して頂く機会を設けております。私自身も消防団員として、点検の際などに実際動かしてみる機会がありますが、普段から常に訓練しないと、いざという時になかなか、戸惑ってしまうものです。
そこで、特に、防災の担い手として期待される中学生を中心に、今後新たな取り組みとして、小・中学校の防災訓練の際に、D級ポンプ、スタンドパイプ操作訓練を実施すべきであると考えますが、教育長のご所見をお伺いいたします。
また、現在、救急救命訓練において、重要なAED(自動体外式除細動器)は、学校や各施設に設置されておりますが、このAEDを使った一連の応急手当の方法を実際に体験してみることも大事ではないでしょうか。体験してみないとなかなかイメージがわかないはずです。
緊急事態に遭遇したときに、命を守る行動力を身に着けること、またそのような事態を想像し、臨機応変に対応する、想定力というものが、児童生徒にとっても大変重要な教育になると考えます。
何時、その時が来るかわからない時のためだからこそ、日ごろ訓練することが重要です。
そこで、防災の担い手として立派に行動がとれると期待できる中学生くらいの段階では、生徒全員が一連の応急手当の仕方を知っているということが望ましいと考えます。また、そのような訓練が、救命の実践力を養い、公共心・公徳心を自覚させるよい機会になるものと確信しています。
小学校・中学校における防災訓練の現状を踏まえ、AEDを使った応急訓練の今後の取り組みについてご所見をお伺いたします。
(答弁)
今後、AEDの設置場所に関しても、中学生以上になると、運動量も増え、活発になりますので、校舎内のみならず、屋外の運動場などに設置する試みも必要であると考えますので、検討して頂ければと思います。
以上で、総括質問を終了いたします。