令和5年第二回定例会代表質問


令和5年第二回定例会代表質問(全文)

台東区議会公明党

松尾伸子

服部区長、この度は再選を果たされ大変におめでとうございます。区長は、所信表明の中で8年間の実績を踏まえ、これからの4年間の区政展開を、区の将来像の実現のための基本目標ごとにお披瀝されました。

私共公明党も、どこまでも、区民の幸福実現のために、共々に力を合わせて参りたいと決意を新たにしております。

それでは、会派を代表して質問させていただきます。

初めに、窓口での区民の満足度向上の取り組みについてお伺いいたします。

コロナ禍を経験し、近年、各自治体で、窓口業務の煩雑化に対応するDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として「書かない窓口」が進んでいます。

これは、職員が窓口にいらっしゃった方より、ご相談内容を聞き取り、書類作成することにより、時間短縮が可能になる取り組みですが、本区におきましても、「書かない窓口」「待たない窓口」「来させない窓口」を目指して、計画的に進めていかれると聞いています。

日頃から、区民の皆様が各地区センター含め、区役所に様々な相談・手続きに来庁されますが、私も、特に、子育て中の保護者や高齢の方、障害のある方など、ご案内し付き添うことがあります。

その中で、相談・手続きは複数の窓口にわたり、煩雑化し、かかる時間も長時間になり区民の負担は増大していると強く実感しています。

役所に行かなくてもいいように、「来させない窓口」の取り組みの一環として郵送手続きなど実施されて、少しずつ改善の取り組みが進められていますが、そもそも、手続きに要する書類の量、同じことを何度も記入しなければいけないこと、また、窓口を行ったり来たりと、まだまだ、課題は残ります。

また、相談内容によっては、区民が相談迷子になり、継続的な支援に向けても、なかなか進めない状況をよく見かけます。

そのような時、相談者ご本人は、心理的には、想像以上に焦燥感と、不安感を抱くものだと考えます。

やはり、区民の満足度を向上させるため、窓口のワンストップ化などが必要であると考えます。

総務省においても2015年から行政業務改革の一つとしてワンストップ窓口の導入を推奨しています。

ワンストップ窓口、いわゆる総合窓口には、窓口職員の負担が増加する場合があることや、これまで以上に幅広い業務を覚えるためにスキルアップが必要になるという課題がありますが、財団法人東京市町村自治調査会による「総合窓口の必要性」の調査において、自治体の業務効率化と区民の満足度向上の双方を実現できるため、8割の自治体が導入の必要を感じているとのことです。

私は、区民の皆さんが、区役所窓口において少しでも敷居の高さを感じないように、どこまでも「区民の目線」に立つ区民サービスを心掛けて下さる台東区であっていただきたいと切に願うものであります。

そこで、ワンストップサービス化など、区民の皆様の利便性を高め、区民の負担を軽減するための取り組みを早急に進めるべきと考えます。

区長のご所見をお伺いいたします。

 

次に、今後の住宅施策についてお伺いいたします。

昨年の代表質問におきまして、核家族化と長寿化により、単身世帯および夫婦のみの単独高齢世帯が増加していることに伴い、高齢者の住宅問題が大きくなっていることを指摘させて頂きました。

現在、全国で高齢化は増加の一途をたどり、2,040年には、概ねピークを迎えて約3,850万人、総人口の37%へと大きく増加するものと予想されています。それと同時に、75歳以上の高齢者の増加が進み、地域的にも今後大都市圏での高齢化が急速に進むことから、高齢者の単独世帯の増加は、2030年には717万人へと大きく増加することが見込まれています。

台東区においても、2022年の65歳以上人口は、45,400人、高齢化率は22.2%となっており、高齢者が住宅を確保することが大変難しい状況となっています。

その理由として、そもそも高齢者が入居できる住宅、高齢者向け住宅が絶対的に少ないこと、賃貸住宅の貸主が高齢者の入居を望まないケースが大半であるということ、また貸主ご自身の高齢化、住宅の老朽化などにより立ち退きを余儀なくされてしまうこと、などが挙げられます。

いうまでもありませんが、この超高齢化社会において、区民が安心して住み慣れた地に住み続けるためには、高齢者のための住宅を確保することが喫緊の課題であると言えます。

また、一方で、この台東区で新たに、結婚や子育てをスタートされている新婚家庭や子育て家庭では、生活費や住居費、教育費などの支出が増えて、昨今の物価高騰のあおりを受け家計を圧迫され、負担を増大させています。

東京はもちろんのこと、台東区も近隣に比べて住居費が高いため、新婚家庭や子育て家庭も住み慣れた地に将来に渡って住み続けるということが大変難しい状況となっています。

実際に、区の人口は、20代の若年層の転入により徐々に増加していますが、そうした中で、子育て世帯と思われる世代の転出が見られています。

国では、人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業に大きく予算を割いています。

この事業の目的は、人生100年時代において、ライフステージに応じて変化する居住ニーズに対応して、高齢者、障害者、子育て世帯など誰もが安心して暮らせる住環境の整備を促進するというものです。

具体的には、高齢者、障害者、子育て世帯の居住の安定確保及び健康維持・増進に資する事業を公募し、先導性が認められた事業の場合に国が助成を行います。

たとえば、子育て世帯向け住宅の整備、効果的に見守る高齢者向け住宅の整備、住宅団地の再生に繋がる地域の居住継続機能の整備などの事業の実施について、その費用の一部が交付されるというものです。

本区におきましても、老若男女問わず、すべての区民がこの台東区に「住み続けたい」「住み続けて良かった」と思っていただけるよう、住宅施策を充実させるべきであると考えます。

また、住まいを取り巻く問題は、住宅確保だけにとどまりません。

現在、台東区内の住宅の8割がマンションなどの集合住宅という状況ですが、もっとも古いマンションは1970年以前に建てられており、1980年代後半のバブル経済期には多くの物件が供給されています。

今後、築50年を超えるマンションの経年化や管理不全は、外壁剥落による近隣への危害、景観、防災など周辺環境に深刻な影響を及ぼす恐れがあり、管理不全の防止、管理不全状態の改善を図っていくことが必要になってまいります。

さらに、社会経済状況やライフスタイルの変化、そして新型コロナウイルス感染症の拡大などに伴い、住まい方や働き方が多様化しており、多世代居住やシェアリング、テレワークがしやすい環境を備えた住宅の供給など、時代の変化に合わせた住宅施策が求められています。

そこで、お伺いします。

こうした住宅施策における様々な課題に的確に対応していくために、来年度策定する新たな住宅マスタープランに基づいて、住宅施策を展開していく必要があるのではないでしょうか。

区長のご所見をお伺いいたします。

 

最後に、新たな交通手段についてお伺いいたします。

本区の交通に関しては、交通空白地帯の解消を目的とし、現在は、区内における移動の充実を図るため、「めぐりん」を運行しています。

しかし、高齢者や障害のある方、子育て世帯などの区民から、停留所やコースの見直しなど、更なる交通利便性向上に向けた要望を頂いています。

交通手段を取り巻く状況は、全国各地でも多様化してきており、近年では、台東区内でも見かけられる電動キックボードなど、少人数で利用できるパーソナルモビリティや、電気で走り排気ガスを出さず地球環境にも優しいグリーンスローモビリティなど、新たな交通車両が登場して来ています。また、運行形態としても、決まった時間に決まったルートを運行する形態だけでなく、利用者が自ら予約を入れることで、行きたい時間に、行きたい場所へ送迎をしてくれるデマンド交通など、バスや電車よりきめ細かな交通手段が登場してきており、各地では実証実験などが行われています。

例えば、東京23区では、豊島区において「IKEBUS(イケバス)」の愛称で、愛くるしいデザインの22人乗りのバス型グリーンスローモビリティが実用化されています。

港区や杉並区においては、4人乗り及び7人乗りのカート型グリーンスローモビリティによる運行の実証実験が行われています。また、渋谷区や豊島区においては、6人乗りのワンボックス車両によるオンデマンド運行サービスの実証実験がおこなわれています。

グリーンスローモビリティについては、速度が時速20キロメートル未満と、ゆっくり走行することが特徴で、単なる移動手段としてだけではなく、街並みや様々な景色をゆったりと楽しむことや、人と街を繋ぐ、シンボルにもなっているようです。また、小さなサイズの車両も多く、これまでコミュニティバスが通行出来なかったような道路や、乗用車が通行するとすれ違いで渋滞してしまうような道路などでも、小回りの利く交通手段として活用できる可能性があります。

デマンド交通は、地域密着型のコミュニティバスなどと比較しても、運行ルートから外れてしまった場所に住む人でも利用できるメリットがあり、また、車両の乗り合いや、料金の定額化などにより、タクシーよりも料金が安いことが一般的です。

本区においても、例えば谷中地域などの坂道の多い地域や、地域内に「めぐりん」の運行ルートが少ない地域などにおいて、このような新たな交通手段は、高齢者をはじめとした地域住民の移動手段として活用されることが期待されます。

居住地域による不公平がなく、誰もが健康で安心して暮らしていくために、交通環境の整備は、今後ますます求められて参ります。

そこで、少子高齢化が続く中で、多様化する区民ニーズに対応していくためにも、このような新たな交通手段の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

区長のご所見をお伺いいたします。

以上で質問を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。