令和5年第一回定例会一般質問


令和5年第一回定例会 一般質問(全文)

1.(仮称)北上野二丁目福祉施設について

2.谷中地区のまちづくりの今後の展開について

3.帯状疱疹ワクチン接種の推進について

4.服部区政2期8年間の成果と課題について

 

公明党 松尾伸子

会派を代表し、今期最後の一般質問をさせていただきます。

1.まず、はじめに、(仮称)北上野二丁目福祉施設について伺います。

〇先日の本会議において、服部区長は所信表明の中で、区長就任後、新たな基本構想を策定され「世界に輝く ひと まち たいとう」の実現のため全力を尽くしてこられ、中でも長期総合計画の主な施策について、基本目標ごとに実現に向けてまい進されたとおっしゃいました。

長期総合計画には基本目標として、はじめに、「あらゆる世代が生涯にわたって成長し輝くまちの実現」とあります。

その中で区長は、「子供は輝かしい未来への希望があり、子供たちの健やかな成長を支えることは、区としての責務でもあります。」とし、「そのためには、区民が安心して子供を産み育て、子育ての喜びを実感できることが何より大切です。」とおっしゃり、「妊産婦や子供、若者など一人ひとりに応じた支援を推進するため、『こども家庭センター』の機能を包含した『(仮称)北上野二丁目福祉施設』の整備を進めて参ります。」と明言されました。

これは、公明党としましても、長年の主張が叶うことでもあり、大変に評価させて頂いており、区長のご英断に深く賛同申し上げます。

〇ところで、昨年の12月20日に厚生労働省発表の人口動態統計によりますと、全国の2022年の1月から10月までの出生数は、66万9,871人で前年同期より3万3,827人減り、過去最少の水準となっています。

このペースで推移すると、2022年の出生数は初めて80万人を割り込む見通しであります。また台東区の出生数は令和5年1月1日で1,240人となり、年々、減少傾向にあります。

益々、少子化、核家族化への加速に拍車がかかる中、子育てに対する区民の不安や負担は増大しています。

〇区では、平成30年度に行われた「台東区次世代育成支援に関するニーズ調査」において、5割の区民が台東区は子育てしやすいと感じる一方で、残りの5割は、子育てに不安や負担を感じる人がいるということでした。このことから、長期総合計画の中で、今後の課題として、10年後のあるべき姿を「子育てに関する不安や負担が軽減され、すべての子育て家庭は、安心して子供を産み育てている。」と明記しています。

〇なぜ、子育てには不安や負担が付きまとうのか、核家族化の進行や地域とのつながりの希薄化、また結婚年齢が上がり、高齢出産によるリスクが高まる可能性があるため、などが考えられます。

加えて、気軽にいつでも相談できる、身近な存在が得られにくいと、保護者の不安と負担は増大します。

ご承知の通り、保護者が孤立してしまうことで、最悪の事態にならぬよう、また、一人の人を、乳幼児から青年期に至るまで健全に育成するためには、様々な人と関係機関が総合的に、関わっていくことは肝心であると考えます。

まずは、妊娠期に健康で、出産後、お母さんが安心して子育てに専念する環境を確保できるかかが、大変重要です。

そして、乳幼児の健全な発達・育成に対する支援が必要です。

現在、区内3か所では「子ども家庭支援センター」で、

子育てから18歳未満の子供の様々な相談に対応する「子育て総合

相談」を実施するほか、谷中分室を含む4か所の「遊びひろば」で

子育て親子が気軽に集まり、交流や情報交換できる場を提供してい

ます。

新たにできた浅草保健相談センターの母子健康包括支援センター機能では、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援。

また、子育て支援サービスの利用をサポートする「子育てアシスト」事業の実施や「乳児全戸訪問」を実施しています。

本当に、各関係機関が緊密に良く連携して頂いているとな、と思います。

〇子供・若者に関する相談や支援は、多岐にわたり、多様化している昨今、区内の様々な関係機関が今後、「(仮称)北上野二丁目福祉施設」設置に伴い、今まで以上にがっちりとスクラムを組んで。

区の関係部局では、現在、来年度へ向け、施設が担う役割について、計画がなされて行く最中だとおもいますが、かねてより申し上げてまいりました、区民にとってわかりやすいワンストップの総合相談窓口を備え、相談者が「相談迷子」にならず、相談後も、各関係機関にしっかりと繋がることができますよう、ここは肝心なところでありますので、綿密に、今まで以上に、連携強化を図っていただき、目指すべき10年後の姿である「子育てに関する不安や負担が軽減され、すべての子育て家庭は、安心して子供を産み育てている。」という目標の達成に期待感をもって、再度ご要望いたします。

〇また、長期総合計画施策の3にあります。配慮を要する子供・若者や家庭への支援についてです。

近年、子どもの命が脅かされる、悲惨な児童虐待の事件が後を絶たず、心を痛めております。児童虐待に関する相談対応も相談数は高止まりをしている感があります。

一方、身体・知的障害にくわえて発達障害についても、社会の理解が深まると同時に療育サービスに対するニーズは増えています。

相談内容も多様化し、落ち着いた療育支援が受けられる環境を整え、今まで以上に、慎重かつ相談者に寄り添う伴走型の支援体制が必須となります。

このことを踏まえて、長期総合計画には、10年後の目指す姿として、「関係機関の連携による相談体制の充実により、虐待などの問題に迅速に対応できる環境が整備され、子供達の安全が確保されていること」や「障害のある子供やその家族に対する支援体制が充実し、子供の障害の有無に関わらず、安心して子育てできる環境が確保されている。」などが挙げられています。

区としては、それに対する取り組みとして、障害児の相談体制の充実や、障害児を養育している家庭への支援、特に送迎支援。また、引きこもりの若者を対象とした居場所づくりなどの支援をしています。

今後の課題として、困難な課題を抱えている若者の支援は、その要因が多岐にわたり、時間を要しながら、切れ目なく寄り添う形での支援が必要だと考えます。

また、障害者デイサービスの設備機能の充実や相互理解の交流の場である居場所づくりなど、そして、センター全体の災害対策など、利用者のニーズも多岐にわたっています。

〇妊産婦や子ども、若者に係わる課題は多岐にわたり、関係する機関もそれだけ多くなりますので、今後、複雑化していくことで起こる様々な事象に対応していくために、更なる連携強化が必要となってまいります。

改めまして、妊産婦や子ども、若者まで、一人ひとりに応じた支援を推進するため、整備を進める「(仮称)北上野二丁目福祉施設」設置に向けた、区長のご決意をお聞かせください。

 

2.次に、谷中地区のまちづくりの今後の展開について伺います。

〇私は今まで、会派の区議会議員として3期12年間、谷中地域を担当させていただいておりますが、谷中地域の昔ながらの街並みや、自然の野鳥や草花そして緑に触れる度に心癒され励まされてまいりました。

谷中は、浅草、上野と並ぶ観光地であり、昨今、インバウンドや国内旅行者の人気も高く、街の風情、魅力に引き寄せられて、来街者も多く、最近は、コロナ以前の活気を取り戻している感があります。

〇谷中地区は、江戸期から続く文化や景観が色濃く残る一方で、防災上は課題が多く、まちづくりの方向性を定めるのが難しい地区であります。

これまで、木造密集住宅整備事業の実施や不燃化特区制度の活用により、道路拡幅や建物の不燃化などが進み、まちの安全・防災力が向上して参りました。

〇また、都市計画道路の廃止に伴い、地区計画を制定するとともに、

景観ガイドラインを策定し、谷中らしい街並みの保全の仕組みを講じるなど、谷中地区のまちづくりに対して、区は積極的に取り組んできたことを高く評価致します。

〇今後は、彫塑館通り沿いの街並みの魅力を向上させるため、さらにそのための事業に取り組む予定となっており、区民の皆さんからも様々なご要望が寄せられており、大いに期待するところであります。

〇ただ、谷中地区における課題は、様々あり、例えば、彫塑館通りの車両通行による街歩きの来街者の安全確保なども検討が必要です。

地域でお商売をされている方からも「制限速度より、スピードを上げてくる車が多い」とのお声を頂いています。私も、通りがかりにみていて、高齢者やお子さんづれの歩行者が、走行してくる車とすれすれですれ違う時など、ヒヤリとしたことが何度もあります。

〇また一方で、静かに暮らしを営みたいと望む住民も多く、観光地化していく街並みやゴミ問題など、不安を感じているという声もうかがっています。

今後、住民も来街者も、また、高齢者や障害のある方、そして、子育て中の方々など、安心して安全に歩行できる空間と、ホッとできる休憩スポットの整備などが必要だと考えます。

〇谷中地区には、防災性向上や街並みの景観保全、来街者対策をはじめとした、様々な課題があります。今後、地区のさらなる魅力を高め、だれもが住み続けたいまちとするため、どのようなまちづくりを進めていかれるのか、区長のご所見をお伺いいたします。

 

3.帯状疱疹ワクチン接種の推進について伺います。

〇帯状疱疹は、子どもの時に感染し、からだに潜んでいた水ぼうそうのウイルスが、体の免疫が低下し、活動を再開することで起こります。皮膚に分布している神経に沿って水疱が帯状に出現し、痛みや発熱、頭痛、リンパ節が大きく腫れる、リンパ節腫脹等の症状を引き起こします。顔や目、頭などにできることもあり、顔面神経痛などの合併症を引き起こすこともあります。治療が長引くケースや、高齢になればなるほど、帯状疱疹後神経痛と呼ばれる長く神経痛を伴う合併症を引き起こすことがあります。

〇平成26年10月に子どもに対する水ぼうそうワクチンが定期接種化されてから、子どもの集団感染が減少しています。これまで大人は、水ぼうそうになった子どもと接することで高い抗体価を維持してきましたが、接する機会を失うことで、体内の水痘ウイルスに対する免疫が低下して、帯状疱疹を発症する人が増加すると言われています。

50歳未満で、免疫力が低下している人と同様に、高齢者はより免疫力が低下し易く頻繁に影響を受けやすいといわれています。

私も最近、実際に、50歳以上の身近に発症された方のお話を伺う機会がとても増えました。人によっては、何年も神経痛に苦しみ、歩行が困難になった方もいらっしゃいます。

治療薬も高額なものもあり、経済的にも大変な思いをされている方がおります。

〇帯状疱疹の発症予防にはワクチンの接種が有効です。テレビCM等で度々取り上げられたこともあって、ワクチン接種についての社会的な関心が高まっているものと感じています。

〇しかし、効き目が長く効く、不活化ワクチンの接種費用がとても高額であることから、接種を希望していても、経済的負担から接種を受けられないとの声を多数お寄せいただいているところです。

〇こうした状況を受けて、現在、帯状疱疹ワクチンの接種費用助成を開始する自治体が広がっており、東京都も令和5年度より、帯状疱疹ワクチンの接種費用助成を行う区市町村に対する補助制度を創設、予算化しています。

〇区民の健康の保持・増進を図っていく観点から、本区においても、接種を推進していくための取り組みが必要ではないでしょうか。

〇私は令和3年第4回定例会一般質問において、高齢者への帯状疱疹ワクチンの接種費用助成の推進について区長の所見を伺いました。

区長からは、国の定期接種化の動向を注視し、適切な対策を実施していくとの答弁をいただいたところです。

〇その後の状況変化や他自治体の動向、都の補助制度の創設を踏まえて、帯状疱疹ワクチン接種の推進に向けてどのように取り組んでいくお考えでしょうか。改めて、区長のご所見をお伺いいたします。

 

4.最後に、服部区長は、2015年(平成27年)3月1日投開票の区長選に、自民党と私たち公明党の共同推薦で出馬され、激戦を勝ち抜いて台東区長に就かれました。以来、2期8年、ただ2期目の大半はコロナ感染症対策に忙殺されたかと思いますが、台東区政のかじ取り役として、議会と時に激論を交わし、時に知恵を絞り協力して区民福祉の増進、賑わいの創出・躍進!台東区のために奮闘されてこられたものと思っております。ついては、この際、この間の服部区政の成果をお述べいただきたいと存じます。また、現在はVUCA(ブーカ)の時代といわれます。VUCA(ブーカ)とは、Ⅴ(変動性) U(不確実性)C(複雑性)A(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとった言葉で、将来予測が困難なという意味です。つまりVUCA(ブーカ)の時代とは、これまでの常識を覆すような社会変化が次々と起こる時代ということです。このような変化の時代に、これからの台東区のため、台東区を前へ進めるための課題は何か、この8年間の経験を踏まえてのご存念をお聞かせください。

以上をもちまして質問を終えたいと存じます。ご清聴ありがとうございました。