平成23年度  第4回定例会一般質問


第4回定例会一般質問

  1. 地下鉄日比谷線入谷駅、東側のバリアフリー化について
  2. 観光トイレについて
  3. 飼い主のいない猫対策について
  4. 発達障害児の支援について
  5. 家庭的保育による共同保育について
  6. 学校給食における、放射性物質の検査の実施について


区議会公明党の松尾伸子でございます。平成23年度、第4回定例会にあたり、会派を代表いたしまして、初めての一般質問をさせていただきます。区長教育長におかれましては、明快なご答弁を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

まず、本年は、日本全体が、未曽有の大災害に見舞われ、各地の復興支援は今も続いております。それに伴い揺れ動いた1年でありました。経済変動による所得格差の拡大、社会保障の問題。また、地域や家庭における人間関係の希薄化など、早急な対策を講じなければならない問題が山積しております。

かつて、周恩来元総理の夫人、鄧頴超女史が、友に送った励ましの言葉に、「私たちは、困難の時こそ、断じて前を見て、希望を見つめ、光を見出していかなければなりません。」とあります。どこまでも、区民の皆様のお声をいただき、寄り添いながら、皆様が笑顔で、希望を持ってこの台東区で暮らし続けて頂けるよう、日々全力で精進していくことをお誓い申し上げ、質問に入らせていただきます。

はじめに、地下鉄日比谷線入谷駅、東側のバリアフリー化について2点お伺いいたします

吉住区長は、今定例会の所信表明で、バリアフリー基本構想について「高齢者や障害者の方々をはじめとした全ての人々が、安全で快適に暮らせ、来街者も快適に過ごすことのできる街づくりに取り組んでまいります。」と、積極的なバリアフリー化に取り組まれる決意を述べられており、心強く思っているところでございますが、入谷駅を中心とする当該地域のバリアフリー化については、かねてより、地域の多くの方々から強い要望が寄せられておりますので、この際、お伺いするものでございます。

さて、北千住方面のバリアフリーに関しましては、平成22年にエレベーター・エスカレーターの設置・整備が完成し、地域住民の皆様に大変喜ばれているところでありますが、それとともに、上野方面の整備についても強い関心、期待が寄せられております。

地下鉄入谷駅は、酉の市などの際には、台東区を訪れる多くの方々がご利用になる本区の顔ともいうべき駅ですが、地上への連絡は階段しかなく、観光の町台東区には似つかわしくない現状で、また、普段、この上り線ホームをご利用なさる高齢者や車いすなどお使いの皆様は、大変不便な思いをなされております。
つきましては、バリアフリーの観点から、早急な対策が望まれますが、区長のご決意をお伺いいたします。また、言問通りとの交差点付近は、人の流れも、駐輪も多く、安全性が懸念されますので、総合的な対策が求められますので、この点も併せて、お伺いいたします

次に、観光トイレについてお伺いいたします

本区は平成22年に策定された、新観光ビジョンの基、区の多面的な魅力の向上と、にぎわいの創出をめざし、利便性と快適性を兼ね備えた観光の基盤づくりに取り組まれております。平成22年度には、年間約4083万人の観光客を迎え、そのうち約413万人は外国人旅行者であると伺っております。

明年の、東京スカイツリーの開業にあわせ、これまで以上に魅力あふれる地域を目指していくことが重要であると考えます。

さて、どんなに素晴らしい観光地でも、トイレが不快だと、すべてが台無しになってしまいます。観光地としての満足度の向上を図り、リピーターを増やすうえで、トイレの改善は、大変重要な課題と思います。

本区においては、すでに「さわやかトイレ整備」として公衆トイレの環境整備に取り組まれていることは充分承知しております。しかしながら、

台東区観光に感動を与え、観光客をさらに呼び込むために、「観光」という視点をいっそう鮮明に、台東区らしさ、観光地らしさを、形状にも、機能面にも表現した魅力あふれる「観光トイレ」の整備の必要性を実感しております。

伊東市では、数寄屋造りから、洋風建築まで、個性豊かな「観光トイレ」を配置し、それぞれユニークなネーミングをして、「観光トイレめぐり」として、しょうかいしています。他にも、港区大門や埼玉県荒川村など、このような取り組みをしている自治体があります。

汚いと忌み嫌われるトイレから、区民の皆様が、わが区の誇りと思えるような、台東区ならではの、街の景観にも配慮した、来街者がほっとするひと時を過ごせる「観光トイレ」に進化させる必要があると考えます。区長のご所見をお伺いいたします。

次に、飼い主のいない猫対策についてお伺いします

飼い主のいない猫、いわゆる野良猫の対策として、昨今、ボランティアの方々が中心となって、えさやりのルールを守り、糞の掃除等も行うなど地域で管理しながら、これ以上増えないように不妊去勢を施し、寿命をまっとうするまで面倒を見て行くという、「地域猫の活動」が各地に広がっています。

台東区でも、「飼い主のいない猫の不妊去勢手術費用の助成」を実施しており、地域猫の活動の一助となっており、野良猫の苦情も減少するなど成果が上がっているようであります。

最近では、町会として取り組む地域もあり、活動が広がっており、不妊去勢手術費助成の受付には、毎回受付枠以上の申請があり、要望に応じきれない現状です。

ところで、ボランティアの方々には、自己負担で、あるいは寄付を募って手術を受けさせるなど、熱心に活動されている区民の方々も多いと伺っていますが、これらの要望に応えられるよう、できる限り助成数を増やしてほしいところでありますが、公費負担で、どこまでこたえるべきなのか、なかなか判断が難しいと思います。

そこで、個人の申し出の不妊去勢手術費助成とは別に、町会など地域として取り組む場合には、先の個人枠とは別に予算枠を組んで対応を図ってはどうかと考えます。

ついては、改めて、区の助成事業の目的を伺い、確認させていただくとともに、今後、この事業の見込み、町会等地域の取り組みに対する助成枠の新設の是非について、区長のお考えをお伺いいたします。

次に、発達障害児の支援について伺います

本年8月の国会で「改正障害者基本法」が成立、施行されました。これは、国連障害者権利条約の批准に向けた国内法整備の一環として進められましたが、障害者の定義に「発達障害者」が明記され、これにより、発達障害に対する理解と施策の普及啓発が進み、支援サービスが受けやすくなるものと思っています。また、障がいのない児童生徒と共に学べるよう、地域で学べる環境の整備などや、障害児が社会的に自立するための訓練などを行う「療育」の促進が定められています。

発達に障害がみられる子供は年々増加傾向にあります。ある地域では、1歳半健診を受けた子供の20パーセントが要観察と判断され、その半数は精神面の発達の問題が心配されています。5人に1人が育児上の心配があるとのことです。

吉田友子女史著作の「その子らしさを生かす子育て」のなかで、女史は、語っています。「世界に類を見ないほど乳幼児健診の充実を誇る日本だからこその特殊な議論として、こうしたグレーゾーンの子供たちまでピックアップすることが母親の育児不安をあおるという批判があります。そして、乳幼児健診で発達プロフィールを正確に把握するより、結果をあいまいにして、母親が心配ですといっても心配ないですと一律の安心を与えるほうが有意義だという主張さえあります。しかし、―――私たちは、レッテルを貼るために評価するのではありません。成果が上がりにくいことの原因が、子供の努力不足にあるのではなく能力的な不得手にあると気づく。努力が成果に結びつきやすい方法を考える。他の子供がしていない努力をしているという事実を一緒に味わい手に入れた成果の大きさを一緒に喜ぶ。それが子供を丸ごと受け止めるということです。それにはまず能力障害が能力障害と正確に認識されることが大前提です。」と。

また、スウェーデンのヨーテボリ大学児童精神科のギルバーグ教授らは、地域の6歳児589人にスクリーニングを行い、ピックアップされた子供たちを診察したところ、63人の子供に何らかの神経発達や精神発達の問題が確認されたと報告しています。しかし、スクリーニングにパスした子供を、一部診察してみるとパスしたグループにも神経発達や精神発達の問題の子どもがいることがわかりました。そして、子供たちをスクリーニングし、支援することの重要性を強調しています。また保護者が子供の特性についての情報を持つことは10歳から11歳になった時の適応を向上させる傾向があったという調査結果を述べています。

日本の研究でも現行の乳幼児健診では継続支援の対象になっていないような軽微な発達障害は思春期・青年期に学校不適応や引きこもりを起こす要因となりうることが指摘されているとのことです。

保護者にとっては、わが子の発達について心配を感じた時に、相談すべきかどうか、それが本当に悩むべきことなのか、個性の範囲の事なのか。誰とも共有できない悩みを抱えて苦しんでいる保護者の方々が実は、大勢いらっしゃいます。

そこで、これらのことから、保護者に寄り添う形で考えることが大切で、早期発見、早期療育が大変重要なことと思いますので、これを視点に、次の4点についてお伺いいたします。

まず第一に、「発達障害児の早期発見・早期療育」のために、乳幼児健診の際、発達障害の兆候を見逃さずに発見出来るように、工夫を凝らした新しい問診票の導入を考える必要があると私は考えております。

本区においては、現在、16か月健診、3歳児健診が行われていますが、その中で、発達健診で発達の遅れがみられるケースはどの位の割合になり、見逃しているものはないか、また、見逃していれば、その場合どのように対応しているか伺います。

第二に、就学前にも発見する機会を設けて、早期療育に入るために、46か月児の「発達健診」の体制を整えるべきであると考えますが、お考えをお伺いいたします。

46か月の時点で療育が必要と判断された場合、就学までに約16ヵ月あります。この期間に早期療育を受けたお子さんは入学してからも、その子の育ちを学校もPTAも理解をして受け入れていくことで小1プロブレムもかなり回避することが出来るものと考えます。

第三に、現在療育に通っている5歳児のお母さんから、「台東区では、小学校1年生までは松が谷福祉会館で療育支援を行っていただいていますが、その後がとても不安だ」とのご相談を受けました。福岡県飯塚市内の療育施設を運営するNPO法人「ピーサス」の高橋理事長は、言語中枢が最も発達する10歳までの「療育」の有用性を訴える一方、一部の発達障害者が就職先での理解を得られずに退職していく状況に言及し、「成長の経過を一貫して見守る支援策が必要である」と語っています。公立だけではなく、民間力を活用し、専門性の高い療育支援を可能にしていく必要があると考えます。
そこで療育支援を継続して受けられるようにせめて、中学3年生まで拡大すべきであると考えます。ご所見をお伺いいたします

第4には、平成21年度から就学支援シートを作成して頂いていますが、これの活用方について、発達障害のあるお子さんの継続的な支援のために、さらに、発展した形が求められると考えます。

世田谷区では「46か月児発達相談」の実施と「スマイルブック」というお子さんの基本情報・支援情報をまとめるものを作成し発達相談の折に配布したり、保護者がホームページからダウンロードして自由に活用できるようになっており、支援機関等への情報提供や成長の記録として役立てているとのことです。そして、個別支援計画書を作成し、必要に応じて個別支援会議を開催し、発達障害のあるお子さんの生涯にわたる継続的な支援を、学校と、支援機関、そして一番の支援者である保護者とで、共に情報の受け渡しと、共有化を図ることに取り組んでいるとのことでした。松江市においての、「サポートファイルだんだん」も同様に、保護者がファイリングし保管する形のものです。

本区におきましても、支援情報等の記録を作成して、中学3年生まで継続して引き継ぎ管理することが必要であると考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。

 

次に、家庭的保育による共同保育について、伺います

昨今の景気低迷により、失業者が増加し、所得格差も拡大し、人の生き方や、家族の在り方が大きく変化していく中で、子育て支援に関しても、一層の深化が必要であると言われています。「男性は仕事、女性は家庭」という社会通念はもはや崩壊しております。労働人口が減少傾向の中、ライフワークバランスの点からも、子育て中のお母さん、お父さんが安心して、働くことができるよう環境整備が求められ、保育サービスの質の向上を図ることが、緊急の課題となっております。

本区の、11月現在の待機児童は47人ではありますが、今後増え続けていく可能性が予測できます。待機児童の中でも、0歳~2歳児が、全体の98%を占めています。そのため本区では、保育ママ制度を導入し、現在7人の保育ママさんが、献身的に、19人のお子さんの保育に当たっていただいております。

国においては、家庭的保育事業の利用児童数を、2014年度に19千人まで増やす目標値を掲げています。

現在の保育ママ制度では、一人の保育者が3人まで保育でき、補助者を付けると5人まで預かることができます。しかし2人で、5人の子供を保育するということは、保育者の負担は軽くはありません。

先日も、ある区の認可外保育施設で、うつぶせ寝による、痛ましい事故がありました。今後このような事故を防止していくためには、細心の注意を払っていかなければなりません。また、さらに、安全性を高めるため、担当所管は連携を密に図っていただくよう、強く要望いたします。

そこで、自前の施設で、一定の資格と経験のある家庭的保育者による共同保育を実施することができるNPO法人や社会福祉法人などの、民間事業者を誘致し、区として、支援すべきであると考えます。複数の保育者が相互に協力しながら保育に当たることができ、保育の質と、安全性をより高められます。保護者にとっても、安心感が増し、利用率のアップにつながると考えます。また、家庭的な環境に適した、子供にとって新たな選択肢を提供することともなります。

このような、0歳から2歳までの児童に特化した家庭福祉員による共同保育について、教育長のご所見を伺います。

最後に、学校給食における、放射性物質の検査の実施についてお伺いいたします

福島第1原子力発電所の事故により、放射性物質が放出され、その汚染が生活を脅かしています。まず、守らなければならないのは放射線の影響を受けやすい子供たちです。

放射性物質は、ある一定の時期が来ると別の元素に変化するとのことです。その変化のときに放射線を出しますが、何らかの形で内部被ばくしていると、この時、体内で染色体が傷ついたり、活性酸素が発生したりして、周りの組織を傷つけます。そのために放射線を浴びると、がんを発症したり、生殖機能に影響を及ぼすことがあるのですが、成長中で細胞分裂が活発であればあるほど、その影響は大きくなり、放射性物質を体に取り込んでしまうと子供たちは、その影響を大人よりも4倍~10倍も多く受けてしまいます。

だからこそ、汚染されていない水や食べ物を選ぶということは、大前提でありますが、重要なことになります。

また、放射性ヨウ素、放射性ストロンチウムは、必須ミネラルと構造や振る舞いが似ています。セシウムはカリウムと、ストロンチウムはカルシウムと構造や振る舞いが似ているため、植物に関しては、セシウムをカリウムと、ストロンチウムをカルシウムと勘違いをして吸収してしまい、汚染されてしまいます。

人間の体内でも同じことが起こります。そのときカリウムとカルシウムが必要量満たされた状態であれば、放射性セシウムや放射性ストロンチウムが入ってきても輩出してしまいます。しかし、不足していると腸から吸収してしまい、たまりやすい臓器に放射性物質がとどまり、放射線を出し続けます。

これらの点を勘案し、次代を担う子供たちを内部被ばくからまもるために、また、その保護者の不安を取り除くためにも、行政の責任として、学校給食の食材の放射線検査の実施に取り組むことが、緊急の課題だと考えますが、教育長のお考えを、お聞かせください。

 

以上をもちまして、質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。